安定のアッシュカラーと、ロボットと科学の話。
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美容師という仕事は、いつかロボットに奪われる日が来るのだろうか。
そして、僕の天パはどうなるのだろうか。
原宿、表参道で美容師をしている楠本真澄です。
ドメスティックな彼女という漫画を読んで4回キュン死したことが、最近のハイライトです。
ちょっとした空き時間に、オックスフォード大学が認定 あと10年で「消える職業」「なくなる仕事」(週刊現代) | 現代ビジネス | 講談社(1/5)(出展:講談社 週刊現代)を見かけて、読みふけりました。
非常に興味深い内容で、おバカな僕は一応かっこつけた険しい表情で速読しましたが、科学の進化の凄さにただただ天晴れと思い、感動でお尻が二つに割れました。
これを読んで考えたのが、「美容師はどうなんだろう?」ということと、「オックスフォードって響き、ダックスフンドみたい。」ということだ。
後者はとりあえず置き捨てて、美容師の仕事を改めて考えてみました。
美容師の技術は、ロボット化出来るのか。
ボルトのような凄まじい速さで成長を遂げている科学の力。びっくりするくらいその世界は詳しくないですが、人工知能とかなんか凄いことになってきております。
美容業界でも、自動でシャンプーしてくれる機械とかあって、僕は体験したことないですがなんかめっちゃ気持ちいいらしいです。
いつかロボットが美容師に、、、?そんなことを考えちゃいますね〜。
- 技術や接客はどうなるでしょう。
美容師の技術は、ほぼ全てが手を使って行われます。カットやカラー、パーマやスタイリングも、道具を使いながら美容師の手によって行われており、簡単な考え方としてはロボット化は難しいと思われます。
しかし、オックスフォードの天才たちは、いくつものパターンを記憶させ、適した場所、場合によって複雑な手の動き、様々な技術を提供することが可能、的な見解。
僕は、「マジか」と思いました。
例えば、腕が確かな美容師何千人の技術データを取り、場合によってあの美容師のあのカット、あのカラーとかが可能になるかもしれない。お客様からしても、確実に確かな腕を持った美容師に切ってもらいたいはず。
さらに、何万通りあるヘアカタログやカラースタイルをデータ化し、その通りに再現出来る技術パターンを覚えさせ、それを提供する。
いろいろな想像を膨らませた結果、もう口に出して「マジか」と言いました。
しかし、本当にそれは、お客様が望むものなのか。
我々美容師の仕事は、
このヘアスタイルにしてほしい。
わかりました。
はい、できました。
ということではありません。美容師の技術を活かした作業、だと捉えます。これは、ロボットにも出来るでしょう。
ただ、我々美容師一人一人は、もっと踏み込んでます。
例えば、
こちらの写真は、2年ほど担当させていただいるお客様。この写真のように、やや暗めのアッシュブラウンにさせていただきました。
この1つのヘアカラー施術を紐解くと、様々な要素が含まれた技術なのである。
オーダーは、暗めの綺麗なアッシュ。
かしこまりました、と実際ただ単に同じカラー剤で根元から毛先までバーンと塗っているわけではありません。
こちらのお客様は、10ヶ月前くらいにストレートパーマの履歴があります。
ヘアカラー履歴は複雑で、明るめにしたり暗めにしたり、グラデーションにしたりでしたが、ここ直近の2回は暗めです。全てアッシュ系です。
そして、生えてきた地毛の黒の部分のところは、予想より必ず明るくなる傾向。
ストレートパーマをした部分にアッシュ系の色味を使用した時、予想より暗くなります。
理由は長くなるので盛大に割愛しますが、10ヶ月前ですので、染める前の状態のカラー状況を見ると、
- 生えてきた根元は地毛の黒(明るくなりやすい)
- そこから毛先までは色が落ちた茶髪
- 中間から毛先はストレートパーマ毛
という三段階に分かれており、でゅふふーとか言いながら同じカラー剤で根元から毛先までドーンって塗ると、根元が明るく毛先は暗くなるという逆グラデーションになってしまいます。
ですので私は、①根元の地毛のプリン部分は、「暗めアッシュちょいマット混ぜ(アルカリ)」、②そこからの茶髪からストレートパーマ毛じゃないところまでは、「微アルカリの暗めアッシュ」、③中間から毛先のストレートパーマ毛のところは、「②で使った薬剤に暗くなり過ぎない薬剤を処方し塗布」、という工程で染めます。
すると、
根元から毛先まで綺麗に染まるのです。(もっと細かく言うといろいろありますが、文字数がやばいのでやっぱり割愛です。)
ヘアカタログ上のモデルの髪質、量、薬剤履歴、骨格、生えグセ、クセやうねりは、あなたと一緒ということはありえません。
このヘアスタイルにしたいのですね。
かしこまりました。
なるほど、前髪や全体の長さは、このスタイルより長めがご希望ですね。
量が多いので、少し軽くしますね。
クセが少しありますので、活かしましょう。
ご自宅でのスタイリングのコツ、乾かした方のコツをご教授させていただきます。
あれ、小さいお子様いらっしゃいますよね?そんなに頻繁に来れないですか?でしたら、根元のプリンが目立たないようにカラーしましょうか。
一人一人の髪質や骨格、その時の気分やライフスタイル、様々な要素を踏まえてヘアスタイルを提供するのが、美容師の仕事です。
そして、それは美容師とお客様との「信頼関係」があってからこそ成り立ち、接客の枠を超えたものと捉えてます。
また、腕のいい美容師の技術をデータ化すれば、的なお話しもしましたが、お客様一人一人が感じる技術の評価は様々です。必ずしも満足するとは言えません。
結果、これはなかなかロボットには難しいかな〜、と思いつつも予想の遥か上を超えてくるのが科学の力。
美容師もいつかロボットになる時代が来るかもしれませんが、それはそれで楽しみです。
いつだって、善し悪しを決めるのはお客様。
まだまだ僕は名もないうんちみたいなもんですが、ロボットに負けないために、お客様に喜んでいただくために、日々精進していきます。
なんでこんな記事を書こうと思ったか、、、って気になってますね?
知人を2時間も待ってるからです。
えへへ。
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